おしゃれフェスを台無しにした「!!!(CHK CHK CHK)」が最高すぎた

横浜のおしゃれ音楽フェス「Local Green Festival」

 

9/5(日)に、横浜で開催された音楽フェス「Local Green Festival(ローカル・グリーン・フェスティバル)」に行ってきた。横浜のおしゃれな海岸沿いにふさわしいおしゃれなシティボーイ&シティガールたちが、どこからともなく集まってくるおしゃれなフェスだ。

 

もちろん、出演するアーティストもおしゃれを極めた者ばかり。iri」「yonawo」「YONA YONA WEEKENDERS」のような今をトキめくおしゃバンドが、おしゃれなメロディでおしゃれなグルーブをつくりだし、おしゃれなシティボーイ&シティガールたちも、思わずご機嫌でおしゃれなリズムを刻みだす。

 

私はというと、もちろん家にある服のなかでも特別おしゃれな(だと思っている)一張羅を着てきたわけだけど、一張羅は駅から会場までの道のりですでに汗で水びたしになっていたし、顔面に塗ってあるファンデーションは降り注ぐ日差しに耐えきれずに溶けはじめていた。

 

20:00頃。私のファンデーションを溶かしたまばゆい太陽もすっかり落ちて、すごしやすい気温になってきた。紺色の空にはキレイな三日月がでている。これ以上ないほどのステキな夜といっていいだろう。

 

んなステキな時間をねらったかのように、大橋トリオの出番がきた。やさしい歌声と心地よいメロディアスな曲がステキ空間と相まって、この夜をいっそうロマンチックな雰囲気にさせる。おしゃれなシティボーイ&シティガールたちも、大橋トリオの手腕に驚かされながらも、お酒片手にゆらゆらと気持ちよさそうにゆれている。友人たちとワイワイ談笑している者、恋人と肩を寄せ合う者、芝生に転がって寝ている者。

 

あぁ、なんて完ペキに美しい夜なんだ···

 

大橋トリオもそろそろ終わろうかという頃、奴らはやってきた。

 

「!!!(CHK CHK CHK)」がおしゃれ音楽フェスを台無しにしにきた

 

うわさには聞いていた。「脚がすごいキレイなおじさんがくる」。

 

その情報が間違いじゃないことは、彼がステージに上がってきてすぐに明らかになった。初老のおじさんであることは遠目にもわかるが、ホットパンツからすらりと伸びる脚が私の100倍美脚なのだ。

 

登場とともにかき鳴らされる音楽は、ベース音が心臓に響くタイプのダンスミュージックで、どこかなつかしさを感じる。私のソウルが徐々に刺激されていくのがわかる。

 

しばらくすると、ステージに「板尾の嫁」と「ビヨンセ」を足して2で割ったようなセクシーな女性が、折り紙でしか見たことないギラッギラの銀色を切って貼ったようなド派手なミニドレスを着て、高らかなビブラートの美声をあげながら登場した。まるで歩くミラーボールである。

 

どうやら、ホットパンツの男性と、このセクシーすぎるミラーボール似の女性のツインボーカルのようだ。正直、この登場はズルイ。面白すぎる。

 

2人はダンスをしながらステージを行ったりきたりする。そのダンスがまたいい。ちゃんとディスコ界で認められている(?)ダンスなのか、ただふざけているだけのダンスなのかが絶紗にわからない。シュールすぎるキメポーズをちょこちょこつくっているのも曲にはまっていてカッコいいんだけど、笑ったほうがいいところなのかもしれないから、まだ反応に困る。

 

数曲演奏したところで、美脚男性がときどき羽おっているジャケットを脱ぎそうになって、半裸×ホットパンツになりそうになる。脱ぐのか?脱ぐのか?脱がないのかーーい!…というのを3回ほど繰り返したあとでついに脱ぎ切ったとき、会場からは大観声があがった。私も「イエーーーーイ!!!キターーーー!!!」と大声を出した。その後ではたと気づく。一体なにに対しての歓声なのだろう。

 

そんなこんなで何曲かにわたって散々盛り上がったあと、とある曲の演奏中、美脚男性がおもむろに会場に降臨した。ステージ前方で見ていた人たちは大騒ぎ。まるで壊れた人形のように踊りくるって、本日一番の盛りあがりを見せているではないか。

 

私は比較的後方で見ていたので、そこは冷静に、ステージ全体を見渡した。美脚男性がボーカルの穴をあけた瞬間、突然ドラムの人が前に出てきて美脚男性のパートを当然のように歌いだした。助け合うスタイルのようだ。斬新すぎて笑ってしまう。そして美脚男性がステージに戻ると、ドラムは何事もなかったかのように定位置についた。そして2人のボーカルは、改めて歌いながらダンスバトルを始める。なんだそれ…

 

しばらくそのような面白かけあいがつづいたかと思えば、なんだか観客がみんな左側をみてザワザワしはじめた。ステージをみると…あれ、美脚男性がいなくなっている。そして数秒後、海浴いの関係者が遠る用の細い通路から、美脚男性が爆走登場した。みんなは大興奮で、美脚男性とのハイタッチを求めて海沿いにキレイに並んだ。もはやゴール前の駅電である。

 

細い通路を走り切った後、ステージ後方から美脚男性が爆走登揚し、ついに私もハイタッチをキメることができた。その瞬間の美脚男性は、もう駅電のゴールテープを切った外国人選手にしか見えなかった。彼はそのまま爆走でステージに戻っていった。

 

嵐の後の静けさがくる暇もなく、美脚男性は曲の静まりにあわせて私たちをしゃがませて静かにさせたあと、クレッシェンドするような曲の盛りあがりに合わせてジャンプさせるなど、体全身を使って散々私たちを楽しませた。そうして、アンコールもまったく同じテンションで体を動かし続け、曲が終わるとともにもろとも消えてしまった。

 

そして、突然ステージ前に放り出されて、少しだけ冷静になった私たちは思わされる。

 

大橋トリオまで散々大事に紡いできた、あの“おしゃれなチルみ”はなんだったんだと。

 

「!!!(CHK CHK CHK)」は幻だったのかもしれない

 

だから私は思った。大橋トリオまでのおしゃれなチルみだけが本当はここにあったはずで、今みた「!!!(CHK CHK CHK)」とやらは幻だったんじゃないか。明日以降、大橋トリオ終わりで帰った人たちだけがまた引き続き美しい人生を歩めて、いま「ヤバかったね…」と余韻に浸っている観客たちは、明日には全員泡になって消えているのではないかと。

 

だって、こんなに腹を抱えて笑うライブは人生で初めてだった。お笑いのライブでも、ここまで爆笑したことない。そんなのおかしい。だって私は、爆笑したくてこのフェスにきたわけではない。できるだけおしゃれな音楽を浴びるために背伸びをしておしゃれな格好をしてまで、わざわざ横浜まで足を運んだのだ。

 

なのに「!!!(CHK CHK CHK)」は、大橋トリオのおしゃれさをなかったことにする最高のダサさだった。

 

帰りの電車で調べたら、あの美脚は、私が4歳のときからさらしていたというのだから驚いた。ドラムと女性ボーカルのメンバーチェンジを経て、1995年から2022年まで続いている長寿バンドらしい。続けてくれていてありがとう。私に出会ってくれてありがとう。横浜にきてくれて、ロマンチックな素敵時間をすべて台無しにしてくれてありがとう。

 

コロナ禍のライブに慣れすぎた私にとって、散々ペンライトをぎゅっと握って大人しく鑑賞していた2年間はなんだったんだ…と呆気にとられるほど、ライブの熱気と興奮と音楽の楽しさを思いださせくれる尊い時間だった。