クリスマス、自分へのプレゼントを探しに紀伊國屋の漫画館にいった。
今話題の和山やまさんの漫画を初めて読んでみて、そのあとHMVまで直筆色紙を見に行ってきた。(しっかりハマってる)
「買った漫画の感想」と「HMVの展示の様子」を残す!
もくじ
凍結していた漫画愛を解きほぐす和山やまさん
大人になってからほとんど漫画を読んでいない。
子どものころは「ちびまる子」やら「ホラー漫画」やらが壁一面に並んでいて、その状態が落ち着くって感じてたんだけど、いちど処分してしまうと「漫画は読む時間が短いわりに場所を取りすぎている」ということに気づいてしまった。
本なら読むのに4時間くらいかかるけど、漫画は長くても30分くらいしかかからない。
いつからか、「なんか悔しいから、それなら本を買いたい」(???)と思い始めて、漫画離れしてしまった。
NetflixとかAmazonで、アニメをチェックしやすくなったのもある。“ながら見”をできるアニメに慣れてしまうと、漫画離れはすすむ一方だ。
そんななか、TVで「このマンガがすごい」の作品について紹介していて、パッと心惹かれたのが和山やまさんの「夢中さ、きみに。」だった。
表紙だけみるとBLっぽいんだけど中身はそんなことないらしく、BLをよくわかってない身としてはありがたかったし、ますます内容が気になった。
和山やまさんの漫画を2冊買ってみた
そしてクリスマス。
街にて迎え撃つ無数のカップルを上手にかわしながら漫画館に足を運び、自分へのクリスマスプレゼントを買うことにした。
同じ考えの人が多いのか、店内はものすごく混みあっていた。これは偏見だけど漫画愛の強そうな人が目を輝かせて商品を見ていて、少し場違いな感じもしたけど不思議と心地よかった。
奥の一角に、大人が好みそうな漫画コーナーがある。(18禁という意味ではなくw ジャンプとかには載らないけどコアなファンがいそうな漫画たち…)
私はそこで和山やまさんを見つけて、この面々を買うことにした。
いざ購入!と思いきや、レジはものすごく並んでいて、セルフレジならすぐに支払いできそうだった。
BLっぽい漫画×「美女を食べる」というやばそうなタイトルの漫画を、レジ打ちの際に店員さんに見られて「こいつ趣味偏りすぎだろ」と思われるのは恥ずかしいから、「なんとちょうどいいところに…ラッキー!」と思って、迷わずセルフレジで買うことにした。
その結果、慣れないセルフレジでバーコードがなかなか読み取れずに何度もかざし、クリスマスに浮き足立って意気揚々と列に並ぶたくさんの人々に購入する漫画を見られるハメになった。
「こいつ…クリスマスに1人でこんな漫画を…?」と思われたに違いない。これならレジの店員さんだけに「こいつ趣味偏りすぎだろ」と思われるのを我慢した方がずっとマシだった。つらすぎる…
帰路でもセルフレジのことを思い出して「ああああ〜〜…!!!」となりながらも、ようやく家に着いて和山やまさんを読みはじめた。
和山やまさん「夢中さ、きみに。」感想
高校生のみずみずしい日常が描かれた作品。
漫画なのに独特の間があって、特に2話目のTwitterの話なんて恋愛ものじゃないのにキュンキュンしてしまって(これを尊みと呼ぶ)この話だけで一冊小説書けると思った。
それに、BL好き(らしい)の作者・和山やまさんだからか、とにかく描かれる男性が全員魅力的。この絵力に乾杯するためだけに、ピザパーティーひらける。(はいただピザが食べたいだけのデブですすみません)
少し中性的な100点のルックスと、なんともミステリアスで惹かれる虚ろなまなざし…
BL好きはもちろん、少女漫画好きにとってもたまらないのではないだろうか…!
林くんは漫画界のキャラ史上一の尊さ
もうバレているかもしれないけど、憎めないキャラクターの林くんがたまらない。
知的であまり笑わない人かと思えば、お茶目なうえにセンスと思いやりもある。(かわいすぎるという事件)
林くんはいつもナナメから冷静にものごとを見ていて、「いいものはいい、悪いものは悪い」がハッキリしている人だと思う。
でも表現するときは言葉で言うわけじゃなくて、思わず笑っちゃうような突飛な行動とか、粋なはからいで示してくる。
だから受け取った方は咀嚼が必要で、一回では理解できないこともあるし、下手したら林くんの気持ちに気付かないまま死んでいく人もいるかもしれない。
そんなふうに、無自覚なままに林くんに救われている人は多そう。林くんは、達観した考えを持つ魅惑の高校生なのだ。
二階堂くんは伊藤潤二のパロディ(多分)
第二部(?)では、その不気味さゆえ「近づくとよくないことが起こる」と噂されて誰にも近寄られない高校生・二階堂くんと、不運にも二階堂くんの前の席になってしまう男の子との友情ものがたりが繰り広げられる。
なんだこの既視感。
そう。読者は二階堂くんが登場した瞬間から、滲み出る伊藤潤二イズムに気づいてしまい、胸が高鳴らずにはいられなくなるのだ。
和山やまさんはWEBメディア「マンバ」のインタビューで、二階堂くんを描くにいたったキッカケを次のように語っている。
二階堂に関しましては、大学生の頃に新人賞に応募した漫画に対し「伊藤潤二っぽいね」と講評で言われたことがきっかけで、あえて伊藤潤二風キャラを描いてみようと思って描いたのが二階堂でした。
リスペクトも感じられるし、面白い仕掛け。「そうだ…漫画のこういうところが好きだったんだよなぁ…!!!」って、二階堂くんをみていてだんだん思い出してきた。
二階堂くんがいつも不気味に振る舞っている理由や、その素顔が垣間見えたとき、ギャップにやられてしまう人が続出するはず…!
和山やまさん「カラオケ行こ!」感想
まずタイトルがいい。表紙のBL感は「夢中さ、きみに。」よりも強めなんだけど、まさかのこっちの方が全然BL要素が少なかった。
ざっくりなあらすじは、ヤクザの男性が中学校で合唱部に入っている弱気な男の子にカラオケで歌い方を教えてもらうという話。
ヤクザ×真面目な中学生というあまりにもかけ離れた2人のものがたりだから、どう展開していくのかが読めなくて、ずっとワクワク感が続く。
人によっては泣けてしまうんじゃないか?くらいな展開も待っている。
中学生の思春期特有の“難しさ”と“まっすぐさ”が出ていてよかった。(私は今も中二病だけど)
常に何かに焦ってたりイライラしやすかったり、「いつまでも大人になれないんじゃないか」って不安だったり…(これも今も不安)
映画にもできそうなキャッチーさと、人間ドラマのバランスがよい漫画だった。
ちなみにコミックムーブで「ファミレス行こ。」という漫画も描いたらしい。(「〇〇行こ。」シリーズでどこまでも行けそう)
でも個人的には「夢中さ、きみに。」の方が好きだった。…というか、ただただ林くんが好きなのかもしれない。
渋谷HMVの和山やまさんの漫画展示にも行ってみた
漫画を一通り読んだあとに渋谷にいく機会があって、渋谷HMVで開催されている和山やまさんの展示もちゃっかり見てきた。
そのHMVは漫画とかカルチャー系に特化してて、和山やまさんの作品がゴリ押しされているゆえ、直筆のメッセージとイラストもあった…
「感想本」という夢のような神企画もひっそりと執り行われていた…
好きな漫画の好きなシーンをみんなでシェアできてる感じが、すごく楽しかった…(この企画考えた人、実現できて楽しいだろうなぁ)
読み終わったあとに、改めて作品にグッと入り込めるスペシャルな体験。この楽しいやつ、小説とか音楽とか映画とか、いろんなコトに転用したら、みんなもっと作品が好きになるんじゃないかな〜!
話はずれたけど、和山やまさんは今回感想を書いた2冊の他にも「女の園の星」という本もだしているみたい。
絵の美しさはそのままにギャグ要素も多そうだから、作風が好みな方はぜひ読んでみてほしい。(私も読みたいと思う!)