もくじ
人の数だけ“語り”がある。「語りの複数性」展
出典:語りの複数性
渋谷の「公園通りギャラリー」で2021年12月26日(日)まで開催されている「語りの複数性」展に行ってきました!
展示のテーマは、千差万別の“語り”。
視覚を使わずに見る人、手話を使って話す人がいるように、人の身体の数だけ、“語り” はさまざまに存在します。(中略)情報が溢れるからこそ貧しくなっていた、さまざまな語りのあり方と、その語りを紡ぎ出す身体を想像する展覧会です。 ーー語りの複数性
写真・絵画・模型・描譜・映像・音など、8名の作家による作品が集まっています。
「語りの複数性」展のお気に入り①「score drawing」
ここからはお気にいり2つを紹介します!
まずは小林紗織(こばやし さおり)さんの作品。
音楽を聴いて浮かんだ情景を、五線譜に描いて視覚化する試み。
流れるような楽譜のうえに、自由な発想で書いたり切って貼ったりしていて、どんな音が聞こえているのかがなんとな〜〜く想像できます。
誘われて奥の間にいくと…
大フィナーレ!!!
すごい勢いで渦巻いている楽譜たち!!!
2回目見るときに音声ガイドで音もつけたら、もっと面白そうだなと思いました。
「語りの複数性」展のお気に入り② 遺品整理士のミニチュア
小島美羽(こじま みゆ)さんは、孤独死の現場を再現したミニチュアを独学で学ばれて制作しているのだそう。
SNSで見てからすごい気になっていて、実はこの作品をみるために展示に行きました!
これは「ゴミ屋敷」という作品。
狭いワンルームにぎっしりゴミの山が積まれていて、ミニチュアでも「うっ…」ときます。
ドアに「水道トラブル」とかの広告シールがベタベタ貼られてるあたりが、リアルすぎる。抜かりない…
こちらは「遺品の多い部屋」という作品。
さっきまで人がいた感じ。でも、たしかにもういない。
モノが多いからこそ漂う、なんともいえない寂しさがあります。
本のタイトルまではっきり見える…!
お金入れるケースあったり、棚にケロッピのシール貼ったりとか、実家感がすごい。
だからこそ、そこに誰もいないのに人をリアルに想像できるんだと思います。
最後は「終の棲家」という作品。
一見、キレイに片付けられたお金持ちが住んでいそうな部屋ですが、よく見ると電球が一箇所切れていたり、椅子に赤黒く変色した跡があったり…
さっきの作品のように“人の存在”はあまり感じないのに、たしかにそこに人がいたことがわかってイッキに寂しさ・虚しさがこみあげてきます。
小島さんの作品はどれも、実際に見たもの・感じたことをそのままミニチュアにしているからこそにじみでる強さがあります。
“語り”の側面でいうと、これは想像でしかないけど… 残された部屋と対峙することで、死者が教えてくれることがあるのかもしれないと思いました。
そして私のことでいうと、自分が人間だったことを思い出して、自分というものを今一度見つめてみたくなりました。
「語りの複数性」展、控えめにいって震えた
この2つ以外にも、さまざまな視点から“語り”をテーマにした作品が展示されていて、人間の多面性について考える時間を持てました。
「なんでこんなにうまくいかないんだろう」と世の中の不条理ばかりを見つめていないで、ある程度のことは受け入れて目の前のことと対峙しなきゃ…って思いました。
こんなに脳みそが震える展示なのに、なんと無料で見れます。お近くに住んでいる方は、ぜひ震えてきてください!