「台風クラブ」観たら、みずみずしすぎてほとんど水

映画好きを唸らせていると噂の(?)「台風クラブ」を観たので、あらすじと感想を残します!

 

ネタバレありなので、これから観る予定の方は、観たあとにまた戻ってきてください。

 

 

「台風クラブ」登場人物とざっくりなあらすじ

 

「台風クラブ」登場人物とざっくりなあらすじ

 

登場人物

 

「台風クラブ」は、相米慎二監督による1985年公開の青春映画。結構むかしですね…

 

主な登場人物は、恭一理恵のカップルをとりまく、中3の男女グループ。

 

「台風クラブ」登場人物

 

梅宮先生:担任の数学教師

恭一:哲学にお熱で真面目

健:悪ぶってて不器用

明:おバカ系のいじられキャラ

理恵:甘えん坊で無邪気

美智子:真面目でハッキリしてる

泰子:キャピキャピ女子。由利LOVE

由利:キャピキャピ女子。泰子LOVE

みどり:泰子・由利とつるんでるけど一匹狼感

 

先生役を三浦友和、理恵役を工藤夕貴が演じていて、微妙に配役が豪華です。

 

ざっくりなあらすじ

 

ざっくりなあらすじ

 

思春期をこじらせる男女混合のグループが、台風の夜に家に帰れなくなって学校で大騒ぎする物語。

 

その朝に寝坊した理恵は、恭一に置いていかれて拗ねたのか、亡くなった(?)母親への思いを断ち切るためか、制服のまま突発的に東京へ旅立ちます。

 

夜、理恵のことを心配しつつも、朝までひとり静かに「個は種を超越できるか」「死は生に先行する。厳粛に生きるための死が与えられていない」と哲学のことを考えつくす恭一。

 

夜が明けてすっかり晴れわたった清々しい朝、恭一は飛び降り自殺をはかります。

 

恭一は飛び降り自殺
沼に突き刺さってます

 

「台風クラブ」のココがすごい

 

「台風クラブ」のココがすごい

 

オープニングからして、すでに優勝

 

オープニングがエンディングだったんじゃないか(?)というほどの、最高のすべりだし。

 

BARBEE BOYSの楽曲「暗闇でDANCE」が勢いよくかかり、それに合わせて暗闇のプールで女子学生たちが踊りくるいます。

 

クチコミでは「暗すぎてなんも見えない」などの意見もありましたが、個人的には最高すぎて、ここだけ何度も繰り返し観ました。

 

それぞれの家族の問題が浮かび上がる

 

中3…14歳頃の年齢は、自我が爆発するお年頃。見境なく、思ったことに猛進できるパワーをもっています。

 

そんなお年頃だからこそ、その人が持つ不安や欲望も浮かび上がりやすい。

 

「台風クラブ」では、人格形成にかなり影響しているであろう、それぞれの家庭環境を想像させる描写があります。

 

たとえば健は、美智子への好意があふれて無理矢理襲おうとしたり、足で壁をドンドン蹴ったり、奇行が激しい。途中、自宅で健の父親(?)が登場するシーンがあるけど、恭一の「健いませんか?」の問いかけにも無言で一切返事をしません。

 

「もしかすると健は、愛に飢えていて愛情表現がうまくいかないタイプなのではないか…?」と想像させるシーンです。

 

そんなふうに、よくも悪くも家庭内のことって当人しかわからないし、ほかの家族がどんな感じなのかもわからない。そんな、どこにもやりきれない不安を思い出しました。

 

中3から見るオトナの残酷さ

 

中3から見るオトナの残酷さ

 

若き日の理想を失った無責任なオトナの典型として、梅宮先生が味をだしています。

 

校舎に閉じ込められた生徒たちが先生の自宅に電話をかけると、梅宮先生はすでにベロベロに酔っ払った様子。

 

「僕はアナタを認めません」と恭一に煽られて火のついた先生は「今どんなに偉いか知らんが、15年も経てば今の俺になるんだぞ。お前はあと15年の命なんだよ!!!」と煽り返した挙句、「僕は絶対アナタにはならない」と即答されてしまいます。(かわいそう)

 

大人になってからこのやりとりを見ると、恭一の視点を思いだしてグサッときてしまいます。

 

こんなオトナになんて絶対ならないぞ!」って思ってたオトナに片足突っ込んでる気がしてきて、「恭一(昔の私)、裏切ってごめんよ…」と脳内プチ反省会が行われました。

 

でも、中学教師なんて爆弾抱えてるみたいなもんなのに、梅宮先生はよくやってるよ…

 

前衛的なリアリティ

 

前衛的な描写

 

泰子・由利の同性愛描写がちょいちょい出てきます。

 

今の時代でもまだまだ偏見があるのに、もっとうるさそうなこの時代に、しかも中学生の女生徒で…っていうのがすごくリアル。

 

ほかに台風の夜にも、彼ら彼女らは服を脱いでで踊りくるいます。

 

無防備で感情のコントロールが効かない、効かせる必要性も感じない、思いのままに全部爆発させちゃえばいい。はじけすぎてて眩しい。

 

たしかに自分にも、こんな風に見境なく行動する青い時期があったはずなのに、なんでこんなに他人事のように眩しく感じるのでしょうね…

 

「台風クラブ」は年齢によって見方が変わる

 

「台風クラブ」は年齢によって見方が変わる

 

「台風クラブ」は、これでもかというほど中学生の青さ・もろさを見せつけられる映画です。

 

この映画を一言でいうなら“黒歴史”

 

でも、それぞれのキャラクターの存在感がぼやっと曖昧で、本当に存在するのかわからなくなる不思議な雰囲気があるから、その余白は見る人自身の記憶で埋めることになります。だからこれを観る全員と、どこかしら重なる気がするんじゃないかなと思いました。その点、よくできている!

 

中学生のときに観ていたとしても誰かしら生徒に投影して楽しめたと思うし、今見ても大人になりきれない自分に無事絶望できます。

 

映像とか音楽も今にはない荒さがあってカッコよいので、アート作品として楽しむ人もいるかもしれないですね。ぜひ自分なりの解釈で楽しみ方を見つけてみてください!