ピカソのゲルニカを立体にしやがったタイガー立石さんの展示@埼玉

 

 

タイガー立石とは?

 

 

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タイガー立石さん(何度か改名ありますが、今回はこれで統一します!)は、虎・富士山・フルーツなどをモチーフに、現実世界とSFの世界を行き来する作品を残したアーティスト。

 

絵画・漫画・コマ割り絵画・絵巻・陶彫など、不思議な世界観はそのままに、自在に形を変えて表現していました。

 

その独創的なアイデアは、赤塚不二夫さんの「バカボン」にも影響を与えたのだとか…!

 

NHKの番組「日曜美術館」でも、タイガー立石回が放送されていました。

 

彼の生き様のなかで面白いと思ったのは、イラストレーターとして収入が増えてきて売れそうになったら、危機感を感じてすべてを捨てて一からやり直すところ。

 

「そろそろ会社を作ってアシスタントを雇ったら?」とアドバイスを受けても、ビジネスマンになることに抵抗するかのように、場所を変えたり作風を変えたりして何度もやり直すのです。(アーティストとして売れ線にのる大チャンスなのに…!)

 

求められる作品を出して得る成功は、彼の美学に反していたのでしょう。アナーキーであり続ける、真のアーティストの姿だと思いました。

 

タイガー立石の展示に行ってきた

 

タイガー立石の展示に行ってきた

 

1/16(日)が最終日だというタイガー立石さんの展示にギリギリすべりこんできました!

 

作品の見どころと感想を残します。

 

タイトルまで素敵な「コマ割り絵画」

 

「コマ割り絵画」とは、一枚の絵画を漫画のようにコマ割りする絵のこと。

 

タイガー立石さんは昔の西洋画を見ても、「高貴な漫画の一コマにしか見えない」と思っていたそう。

 

だからといって、「いっそポップスにしちゃえ!」という発想はタイガー立石さんならではだと思います。(実際に、ピカソやルソーの作品を組み直してアレンジしているユニークな作品もありました!)

 

コマ割り絵画

 

こちらは、黄色い雷が徐々に色味を増していき、最後は街のネオンに変わっていく「The First Suggestion」という作品。

 

色味といい発想といい、かわいい世界観のコマ割り絵画も多いです。

 

コマ割り絵画

 

かと思えば、少しゾッとする作品も…

 

こちらは、とある洋室から見える素敵な景色が徐々に昔に戻っていく「Time Elevator」。

 

最後には、原始人が物珍しい洋室を荒らしにくるという怖すぎる展開に…

 

コマ割り絵画

 

「なんだそれ!」と思わず心の中でツッコみたくなる作品もあります。

 

ピサの斜塔や大聖堂が野菜になっていく「Pisa」。

 

「どういうこと?」と意味を求めるのもナンセンス。このままの世界観を楽しむ、それがコマ割り絵画なんだと思うのです。

 

コマ割り絵画は、それぞれタイトルからして素敵!

 

wiper in jungle

レモン・ムーン

corn city

 

洗練されているけど可愛らしさもある、小説のタイトルになりそうな夢見心地なタイトル。

 

コマ割り絵画は普通の絵画よりもストーリー性が高いから、タイトルが鍵を握っています。

 

こんな街になってください「祝祭としての惑星シリーズ」

 

写真撮影NGだったけど、心に残っている展示。

 

イタリアの雑誌の「実現しない建築」をテーマにしたプロジェクトの公式図録の原画を、タイガー立石さんが担当したそう。

 

資本主義経済が一区切りしてテクノロジーが進み、人々が働かなくてもよくなったあとの街を想像して描かれた原画たち。

 

皮肉めいている面白さもあるけど、単純にないもの(でもありそうなもの、あったら面白いもの)を想像して絵を描く行為が面白いと思ったし、タイガー立石さんにぴったりの仕事だと思いました。

 

熱量が爆発する「陶彫」

 

爆発する「陶彫」

 

ピカソ大先生の戦争がテーマの絵「ゲルニカ」が立体に…!!! (いろんな意味で怖いことをやっている気がします…そもそも勇気がすごいし、結局作品もすごい)

 

熱量が爆発しすぎた結果、絵画の世界から溢れでて、立体になってしまったかのような陶彫の作品たち。

 

どの角度から見ても面白い。

 

ゴッホの

 

ゴッホの肖像と、ゴッホがお世話になっていた郵便配達員のルーラン夫妻(かな?)の立体もありました。

 

荒々しい線まで再現されていて、ゴッホの懊悩までもが立体化されている気がします。

 

明治・大正・昭和「大画面の三部作」

 

明治、大正、昭和「大画面の三部作」

 

明治・大正・昭和のトレンド年表を表した大作。

 

絶妙に似てない似顔絵の俳優、懐かしさを感じるエンタメ作品、ハッとするような事件や現実…なんでもかんでも共存する雑多な一枚に圧倒されます。

 

江戸後末期から明治中頃にかけて活躍した洋画家

 

個人的には、江戸後末期から明治中頃にかけて活躍した洋画家・高橋由一の「鮭」が真ん中にドーンといる、明治時代の絵が好きでした。

 

解説

 

立石の作品は戦後にくっきりと二分化した「芸術」と「大衆文化」の関係性を再びその起点に戻そうとする先駆的試みであったと言えはしないか。

 

大作を散々楽しく見た後にこの解説を読んで高橋由一の「鮭」が上下左右をぶった切って真ん中に配されていたその意味を感じざるを得なくなりました。

 

親近感を沸かせて楽しく見てたのに、ふいに核心をついてくるのが、タイガー立石のやり口(?)なのかもしれません。

 

とっつきやすくて見る人のすべてを受け入れてくれる。でもその人の人格を形成するような大事な気づきを与えてくれる。それってすごく漫画的な哲学だと思います。

 

タイガー立石の展示は、没入できる作品しかなかった

 

タイガー立石の展示は、没入できる作品しかなかった

 

正直いうと、時空が歪んだりSF的だったりするから、展示の途中でちょっと具合悪くなりました。この現象は忘れもしない、草間彌生展ぶり…

 

裏を返すと、そのくらい没入体験させてくれる作品しかなかったです。

 

タイガー立石さんの世界観に溺れた結果だと思ってます。これだけのインパクトの作品を生涯作り続けるって、三半規管どうなってるんだ(?)と思いつつ、そのユニークさとカッコよさに尊敬の念も抱きながら帰宅しました。また見にいきたい!