2020.11.25 – 2021.2.23まで東京国立近代美術館で開催されていた「眠り展:アートと生きること ゴヤ、ルーベンスから塩田千春まで」に行ってきたので、レビューを残します。
もくじ
「眠り展」に行ってきた!【概要・作家】
まずは「眠り展」のざっくりとした概要とテーマ、代表的な作家を紹介!
眠りをテーマにした作品が120点「眠り展」
「眠り展」の概要はこんな感じ。
それから、こんなテーマもあるらしい。
ピータードイグ 展の壁面が使われていることにはまったく気がつかなかったけど、環境に配慮した美術館の具体的な取り組みは素晴らしい。
睡眠導入のようなデザイン
ふわりゆれるカーテンとか丸みのある壁面が印象的な、やさしい空間だった。
フラットな布からはじまり、カーテンがゆらいで眠りに入っていく睡眠導入を意識したデザインなのだそう。
グレーは白と黒の間の「まどろみ」のいろで、まさに眠りを表していると思った。
章ごとに作風がガラッと変わるから、見ていたブースに思いを馳せつつも次のブースが楽しみになるつくりだった。
ルーベンス・ゴヤ・ルドンが集合
「眠り展」で展示されている主な作家は、ルーベンス・ゴヤ・ルドン・藤田嗣治・内藤礼・塩田千春など。
18〜19世紀に活躍した巨匠・ゴヤを案内役に、7章構成で展開されている。
ゴヤのロスカプリチョス見たさに、眠り展に行くのを楽しみにしていたけど、自分の精神状態が弱っているときにゴヤの絵と会って浸りたかったから、ずっと行けずじまいだった。(年末~今にかけて、わりと精神的に安定していた)
そしたら最終日にかけこみで行く羽目になった。
最終日とはいえ、16:00の会は空きが116あったので、「1時間しか見られないけどゴヤだけゆっくり観れればいいか・・」と予約したところ、大行列ができていた。これには驚いた。
なぜなら、ルーベンス・ゴヤ・ルドンってすごくどんよりとした暗くて繊細な絵を描く画家ってイメージがあったから。
あと「眠り」のテーマも、死生観に通ずるような気がしていたから、私は暗いテーマの展示だと思って挑むつもりだった。
やっぱりみんなコロナで病んでるのかな・・
「眠り展」好きな作品TOP3
個人的にグッときた作品TOP3を発表!
3位:阿部合成「百姓の昼寝」
仕事を中断して家族でお昼寝をしている百姓を描いた作品。
色彩がゴーギャンっぽくて第一印象で好きなタイプだった。
私のぱっと見の想像は、暑い中長時間労働させられている百姓の家族がぐったりしていて、男の子がお母さんのおっぱいを探して水分補給をしたがっているように見えたw
実際はこんな意味合いがあるかもしれないらしい。
とても切ない絵だけど、解説を読んでこの絵がもっと好きになった。
眠りにサボタージュの側面があるという解釈はとても面白い。
2位:大辻清司「だいじな釘」
他者からみるとどうでもいいありふれたただの部品を、お気に入りの瓶に入れてとっておく一コマ。
こういうのわかるなー!!!
この釘は屋根裏の物置に置かれたまま一生このかわいい瓶の中で眠るんだろうな。
釘にとってはお役目を果たせないわけだから、たまったもんじゃないんだろうな。
1位:ゴヤ「ロス・カプリーチョス」
1790年代後半、ゴヤの置かれた状況を物語る版画集。
異端審問所の圧力を受けてか、2日間にわずか27部を売っただけで販売を中止したのだそう。
自由主義のゴヤは、スペインを支配する貴族社会と教会を批判して、民衆の覚醒を促すことを制作のモチベーションとしていた。
暗い・変態・反骨心・正義・・ゴヤを表す言葉を思い浮かべると、まさに私のことなのだ。
本来自分に似ている人を見ると同族嫌悪に陥るのだけど、ゴヤの絵は私を一切相手にしていないからいい。
グロテスクだけど最高にカッコいい黒の使い方も好き!
\ ゴヤについて /
「眠り展」の感想
「眠り展」を鑑賞して、全体をとおしての感想を残す!
「眠り」と「気絶」の違いがわからない
まず、私は眠りをどう捉えているかというと、ほとんど気絶だと思っている。
毎日夜の12:00を超えてくると自然と気絶して、朝になると自然に我に返る。
一度だけ貧血で倒れたことがあるけど(しかも実家のトイレで)、我に返ったときに、すっと起き上がって何事もなかったように過ごした。
眠りに似てたから、誰にも言わなかった。
眠りは、生きてるか死んでるかわからない状態。
なぜ今「眠り」?
眠りは「生・死・目覚め・進化・停滞」のようなさまざまな意味を持つという新しい発見があった。
アーティストはそれぞれ、どうして「眠り」をテーマに、その時代・その意味合いで作品にしたのかが気になったし、それを知ることに意味を感じた。
国立近代美術館は、今なぜ「眠り」をテーマに展示をやるのか。
大変な局面にあった作家の表現から学んで、私たちがどうしていくべきか、ヒントを得るためなのではないかと思った。
「眠り」は当たり前にある行為のひとつなんだけど、だからこそ普遍的で全人類共通のテーマなのだと思う。