東京国立近代美術館で2020.10.11まで開催されている、画家・ピータードイグの日本初個展「ピーター・ドイグ展」に行ってきました! ピーター・ドイグ展のみどころや120%楽しむ絵の見方、この展示でわたしが得た学びや自己解釈について記します。
\ いざ参ろうぞ! /
もくじ
画家の中の画家「ピーター・ドイグ」とは?
出典:SPUR.JP
4連休最終日の火曜日。
念願だった「ピーター・ドイグ展」に友達を誘いました。
ピーター・ドイグ(1959-)はイギリスの画家。
作風とプロフィールはこんな感じです。
映画の世界なのか、夢なのか、現実なのか?
そのどれともいえそうな、ちょっと不気味だけどどこかなつかしい、ロマンチックな雰囲気の絵を描く画家です。
さまざまな画家からインスピレーションを得ているので、「画家の中の画家」と呼ばれているそう。
「ピーター・ドイグ展」のみどころ
出典:ピーター・ドイグ展公式
わたし的「ピーター・ドイグ展」のみどころを5つ紹介します。
① サイズでかっ!
とにかく驚くのは、絵のサイズの大きさです。
2~3mの大きな作品がほとんどなので、壮大な世界観を全身で楽しめます。
遠く離れて見た方が全体を気持ちよく見られると思いますが、近づいたときの臨場感(?)がスゴいです。
このサイズ感は、映画のスクリーンを観ているようなそんなイメージなのでしょうか・・
② 絵の並べかたが粋!
それから、絵の並び順にも注目です!
並びあった2枚がリンクして物語が完成する絵もあるので、色々な解釈をしながら楽しむのがおすすめです。
時代を追って、ピータードイグと一緒に旅をしているような感覚で見られるのもよい。
③ 映画のポスター「スタジオフィルムクラブ」

ピーター・ドイグは映画の上映会を定期的に開催しているそう。
その上映会のためにササッと描いた、名画のドローイングがズラーッと展示されています。
懐かしい気持ちになりつつ、ピーター・ドイグがオシャレでかっこいいアニキ的な存在だという空気感を感じ取れると思います。
④ のんちゃんの解説がピュア
出典:Yahoo!ニュース
作品の音声解説は、のんちゃんが担当しています。
舌ったらずな感じがかわいいしピュアな感じがして、展示に合っていると思いました。
⑤ 写真撮影OK!シェアOK!
展示されている作品の写真は好きに撮って、シェアが推奨されていました。
作品の全体図の写真はググれば出てくるのですが、近づいて質感を撮ったり、好みの画角で撮ったりできるのは撮影OKの特権だと思います。
わたしみたいなブロガーにとってもありがたいです!
「ピーター・ドイグ展」おすすめ作品と、120%楽しむ見方
ここからは「ピーター・ドイグ展」に行ったら拝むべきおすすめの作品と、知ってから見ると絵の背景が浮かびあがってもっと面白くなる、予備知識をご紹介します!
ガストホーフ・ツァ・ムルデンタールシュペレ
空にはオーロラ(?)、芝生にも星が降ってきているような、全体的にぼやっとした夢ごこちな作品です。
弧を描くダムの外壁はカラフルな石造りになっていて、近くでみると宝石のようにキラキラと輝いていました。

中央にいる2人のうち、1人はピーター・ドイグ本人がモデルなのだそう。
遠くから、こちらをまっすぐ見つめられているような気がして、ドキッとします。
ピーター・ドイグの作品は被写体が遠いことが多いです。
なんだけど、なんとなくぼやっと描かれている目鼻口のパーツで、どんな表情なのかがわかります。

向かって右側3人の表情、いいなと思いました。
ただ驚いてるだけじゃなくて、絶望的に驚いている感じがする。
映画からインスピレーションを受けているピーター・ドイグだからこそ、被写体の表情が活きいきとしているのかもしれないと思いました。
(左)エコー湖(右)カヌー=湖

この2作品、「実は同じ場面を描いているのでは?」という見方があるようです。
今回の展示でも、ピーター・ドイグが直々に「この並びにしたい」と言ったのだそう。
カヌーでぐったりしている緑色をした女性。
映画『13日の金曜日』から刺激を受けていて、ピーター・ドイグは他の作品でもカヌーのモチーフを描いています。


そしてそれを、岸辺から遠まきに見ている警察官。
一連の殺人が終わったあと、駆けつけたパトカーから降りてきた警察官が、目を凝らしてカヌーの様子を伺っています。

なんとなく、こんなイメージかなと思いました。

静かで美しい空間なんだけど、そこはかとない怖さがある。
『13日の金曜日』観てないけど、このシーンめちゃくちゃ絶望的じゃないですか?
相手方がもし泳ぎ上手だったら詰むやつ。
トラウマを植え付ける映画なんじゃないかと思います。
こういう、息しづらくなるホラー映画の不穏さを絵画に持ち込むところ、悪趣味で最高です!
スピアフィッシング
夜の海、カヌーに乗る2人が描かれた作品。
月とカヌーがリンクしているように弧を描いていて、バランスが気持ちよいです。
初見の感想は、「黄色いジャケットの女性(?)が怖い」。
オレンジのウェットスーツを着た人との関係性とかを考えると、なおさら怖い。
ウェットスーツがしっかり口元まで隠れてるから、2人はしばらく話をしていなさそう。
どういう状況・・?

実はこちら、ピカソ「アンティーブの夜釣り」からインスピレーションを得た作品なのだそう。
地中海に面した街・アンティーブの海に船を出して、モリを使って魚を獲っている人が描かれています。

言われてみると、パキッとした色彩とか不気味な雰囲気にシンパシーを感じますね。
赤い男

晴れた日の海で、赤黒く日焼けをした男性がこちらを見据えています。
その後ろにはなにやら、ヘビ(?)にからまれている青い男性が転がっています。
健康的な男性の明るい絵かと思いきや、それだけで終わらないのがピーター・ドイグの作品の面白いところだと思います。
この健康的な男性は、アメリカの俳優・ロバートミッチャムがモデルなのだそう。
出典:20世紀・シネマ・パラダイス
うっ、かっこいい・・
まぶしいほどの色男であります。

連作で、隣りあわせに並んでいました。
ピーター・ドイグの作品はキャンバスを上下に分ける構図が多くて、この連作も例外ではありません。
右側の男性の方は、水平線よりパンツのラインが上にきていて、左側と比べるとこちらに迫ってきているような感覚になります。
赤いボート、ペリカン
「赤いボート」に乗る6人の男の子(?)が、今にもトラとかワニとかが「ガオ〜」って出てきそうな、でも美しくて静かな湖に浮かんでいます。
ゴーギャンのようなエキゾチックな色彩で、とても好みでした。
エキゾチックつながりでいうと、「ペリカン」もよかったです。
実は彼の右手にはペリカンが握られているのだそう。
ピーター・ドイグが実際に同じような景色のなかで、ペリカンを上下に揺らしている男性を見たことがあるのだそうで(どんな状況だよw)、その状況が絵に反映されています。
「言語化できないアートがやりたい」
章の最後、のんちゃんの解説から、ピーター・ドイグのこんな言葉が読まれました。
「アートはロマンチストのためのもの」
「言語化できないアートがやりたい」
わたしは、この言葉に腑に落ちるところがあって、アート作品を見ることの本質をついているような気がしました。
アートを見るようなロマンチストは、いつも正解のないものを追い求めていて、正解が出ているものに興味がないのではないだろうか。
そして、正解が出ているものはすでに“正解パターン”として周知されている=言語化されているものである場合が多い。
キャンバスの周りにある余白を楽しみたいと思っているアート鑑賞者にとって、すでに言語化されていて余白がないアートは見ていて苦しいのかもしれないなと。
言語化できないアートこそ、ロマンチストであるアート鑑賞者が求めているものなのではないかと思いました。
ピーター・ドイグ展はもちろん、何度か展示を見にいくことによって、だんだんと自分という人間が一体何者なのかを知ることに近づいている気がします。
これは凄い怖いことなのですが、でも豊かなことでもあるんじゃないか!と肯定して終わりたいと思います。
4連休たくさんアートにふれられて幸せだったな・・
毎週4連休でいいな・・
おまけ
美術館のあとに友達・みのりと表参道に移動して、ご飯と秋スイーツを食べに行きました。
まずはがっつり肉。
近くで働いていたときに、ちょくちょくランチに来ていたお店なんだけど、いまだに店名がわからない・・
ボリュームたっぷり、1,200円くらいでランチセット食べられます。
そのあと、みのりに教わったカフェで秋限定のパンケーキを食べました。
クリームブリュレと栗、ほうじ茶ソースのパンケーキと、モンブランのドリンクを頼みました。(どんだけ秋)
こんなオシャレなカフェで、わたしは政治と環境の話に白熱してしまいました・・ごめんよ。
わからん。
キャピキャピのやり方がわからん。