今村夏子『こちらあみ子』読んだら人間の黒さに引いた

芥川賞作家・今村夏子さんのデビュー作『こちらあみ子』を読みました。

 

収録されている『こちらあみ子』『ピクニック』『チズさん』のあらすじ・感想レビューを残します。(ネタバレありなので、読み終わった方や、読む予定ないけど内容が気になっている方はぜひ!)

 

 

 

今村夏子『こちらあみ子』を読んで

 

ざっくりしたあらすじと、個人的な考察・感想レビューです。

 

『こちらあみ子』のあらすじ

 

『こちらあみ子』のあらすじはこんな感じ。

 

こちらあみ子

 

あみ子は無垢で、すごく自然に近い女の子。

 

そんなあみ子が普段どんなことを考えているのか?

 

あみ子には“普通の人”がどう映っているのか?

 

三人称で物語はすすんでいきます。

 

『こちらあみ子』考察・感想レビュー

 

『こちらあみ子』考察・感想レビュー

 

もしふだん、あみ子みたいな人のことを見たら「あの子大丈夫かなあ?」って心配になると思うんだけど、あみ子の視点から見ると私たちの方がよっぽど不自然な存在に見えていて、“普通”が何かわからなくなる。

 

あみ子には、憧れる部分も多い。特に抜けた歯を「なんか心地いいから」でそのままにしちゃうところとか、結果はどうあれ「喜んでくれるかな」って純粋な気持ちで動けるところとか。

 

人間、きのみきのまま生きていいはずなのに、いつからそれが難しくなったんだろう?

 

人間が本質的に持っている“自然さ”をあみ子が思い出させてくれる気がしました。

 

『こちらあみ子』収録『ピクニック』を読んで

 

ピクニック

 

映画『花束みたいな恋をした』で知った人も多いかもしれませんね!

 

『ピクニック』のあらすじ

 

ピクニック

 

30代前半?くらいで、脇にあざのようなものがある、おそらく陰キャな「七瀬」がガールズバーで働き始める。そこで働いている、おそらく陽キャな女の子たち「ルミたち」(この言い方うまいよな…)からイジメにあう話。

 

『ピクニック』の考察・感想レビュー

 

『ピクニック』の考察・感想レビュー

 

こちらも三人称だけど、語り手が「七瀬はイジメにあっている」なんて一言も言わないので、ただ読むと「仲良しグループの日常」に思えるんだけど、裏を読むと「表面上は仲良しに見せかけて七瀬のことを笑っている」という構図になっている。

 

表・裏どちらの読み方をしても真実を言っているのは、七瀬のあとに入ってきた新人だけ。新人の発言に注意して読むことで、裏読みができるようになっている。

 

映画『花束みたいなみたいな恋をした』で有村かすみ演じる絹ちゃんが言った「ピクニックを読んでも何も感じない人」とは、おそらく「裏読み・深読みができない浅い人間」といいたいのだと思う。

 

『こちらあみ子』収録『チズさん』を読んで

 

本の最後の短編『チズさん』のあらすじ・考察レビューです。

 

『チズさん』のあらすじ

 

『こちらあみ子』収録『チズさん』を読んで

 

ゾッとする話ですね……

 

『チズさん』考察・感想レビュー

 

『チズさん』考察・感想レビュー

 

(「短い」の字を間違えてて恥ずかしい……)

 

『チズさん』にかぎらず全編をとおして言えることだけど、社会的弱者とか“普通”から外れた人の考えていることとか行動を、“普通”の人がハッとする形で教えてくれる。

 

『こちらあみ子』の解説が刺さる

 

最後の町田康さんと穂村弘さんの解説が秀逸だったので、それも載せておきます!

 

こちらあみ子

 

あみ子のような一途な人は、バランスを取れないから社会に適合できない。つまり社会でやっていけてる人は、バランスをとることに重きを置いている一途でない人。

 

“向こう側”からすると、社会適合者は全然自然じゃなくて、すごくぎこちない存在。

 

私はどっちだろう?と思うけど、耳が痛い時点で“こっち側”なんだと思うし、あみ子にとっては私もまた不自然な存在なのだろう。

 

本来は“向こう側”の人間なはずなのに、上手くバランスをとって適合しちゃってる自分が浅はかで悲しくなるし、ちょっと悔しい。

 

それにしても、今村夏子さんという人はなんて本を書くんだ……!!!