上野・東京都美術館で2021年4月24日(土)~8月29日(日) まで開催されている展示「イサム・ノグチ 発見の道」に行ってきました!
日曜美術館のイサム・ノグチ回で予習せよ
イサム・ノグチといえば「札幌のモエレ沼公園をつくった彫刻家」という印象が大きかったです。
そもそも絵画と違って手がかりの少ない「彫刻」や「器」を楽しめる自信もなかったので、まずは日曜美術館で予習しました。
サカナクションの山口一郎さんがゲスト。
小樽出身、北海道つながりかと思いきや、一郎さんはイサム・ノグチ作品のファンらしく、「ビビッときて、たまたま購入したあかりがイサム・ノグチのものだったんですよ」と、さらっととんでもないことを言っていました。
オンラインライブでもイサムノグチのあかりを使用していたそうで、共鳴しあう2人の天才アーティストに関心しながら観ました。
日曜美術館で一郎さんに作品の見方を教わってみて、「なんか私でも楽しめそう!」と慢心したところで、翌週早速予約して行ってきました!
イサム・ノグチ展のみどころ2つ
ここからは、展示のみどころをサクッとご紹介します!
① 音声ガイドは「通常ver.」と「サカナクション一郎さんの音楽ver.」の2種類
音声ガイドは2種類。「通常の音声ガイド」が600円、サカナクション一郎さんがセレクトした音楽とともに巡る「音楽のみのガイド」が800円です。
私は作品の詳細を知りたかったので通常の音声ガイドで巡りましたが、「余計な説明はいらん!イサム・ノグチを肌で感じたいんだ!」という方は、一郎さんの音声ガイドがいいと思います。
一周目は通常の音声ガイドで、2周目は音楽のみのガイドで回りたいくらい・・
② イサム・ノグチを味わい尽くす3つの章
展示は3つの章からなります。
第1章は「彫刻の宇宙」。中央には、圧巻の「あかり」のインスタレーションが展示されていて、囲むように代表作が展示されています。
第2章は「かろみの世界」。あかりのほかにも、薄いメッキの板を使った作品や、ソファとオットマンなど、かろやかな印象の作品が展示されています。
第3章は「石の庭」。晩年の石の彫刻作品が多く展示されています。イサム・ノグチ庭園美術館から東京へ持ち込んで展示するのは、これが初めてなのだそう。
第1章と第2章は写真撮影もOK!特に1章の「あかり」のインスタレーション前が映えるので、若い人もたくさんみにきていました。
イサム・ノグチ展で個人的に気になった作品TOP3
ここからは、個人的に気に入った作品を、写真たっぷり、ベスト3で発表します!
TOP3:あかり
やっぱり、入ってすぐにポッとやさしく空間を包み込む「あかり」のインスタレーションには魅了されます。
数分に1度、消灯して点灯する様子も楽しめます。
あかりが灯っていないときも、そこにあるだけで空間を支配しているような圧倒的な存在感があります。
それぞれ個性ゆたかなかたちなんだけど、なかには、DNAの形をしたものもあった。イサム・ノグチは「あかり」に生命を感じていたのではないだろうか・・?
TOP2:メッキ
一枚のメッキ板を、折り紙のように折り曲げたり、まあるく削ったり、刺したりした作品群。
この作品は、「マグリットの石」というタイトルが付いていて、ほかにも「宇宙のしみ」「座禅」とか、タイトルがユニークなものが多かったです。
この作品は、「メッキってこんなに丸くなるんか!」ってくらい、まあるく削られているけど・・
そのまあるい3連を、包丁のように鋭い鋭利なメッキが突き刺さっていて、痛々しさも感じて、でも目が話せなくなるような、そんな不思議な作品でした。
切り抜かれたところは、影までユニークだった。
ちなみに、メッキを火で焼くときに、自然についた跡も残しているのだそう。
こういうの見ると、この彫刻がたどってきた軌跡を感じられるから、いいなあ〜って思う。
TOP1:石
石の彫刻は、どれも洗練されていて好きでした。特に晩年の作品が研ぎ澄まされていて好きだったけど、写真撮影はNGだったので目に焼き付けてきました。
ブツブツ、サラサラ、ギゴギゴ、ピカピカ・・いろんな鳴き声が聞こえてくるような「質感」がすごくおもしろかった。
細胞を表現した彫刻とか、体内をスパンと切ったような彫刻もあって、人間を感じました。
イサム・ノグチは、「石を削る行為は攻撃的でもあり、神聖なことでもある」と考えていたそうで、まずは石と話しあってから削るようにしていたのだそう。
これからみにいく方は、気持ちいい削られ方をしているところや不自然な削られ方をしているところなど、いろんな角度から見て楽しんでほしいです!
イサム・ノグチ展の感想
予習の段階で、自然と、日本の禅のこころと、親和性の高い活動をしている人だと思っていたけど・・
実際に作品を目の前にすると、思ってたよりもその感覚がずっと研ぎ澄まされてるように感じました。
「ヴォイド」という作品は、核のない世界を表現しているそう。
ツヤツヤとしていて、どこにも角がありません。
なんなら、彫刻なのにふわふわにも見えます。
こういう作品が存在していること自体、ものすごい幸福なことだと思います。
こういう作品からはやさしさ・柔らかさを感じるけど、尖っていたりくねくねしたり、ざらざらしてたり・・
彫刻のことはよく知らないけど、本当に多様な人間そのもののように思えました。
いけてよかった・・!これからの方はぜひ楽しんでください!