「日本の中のマネ」でマネの印象が180度変わった

 

「日本の中のマネ」展

 

「日本の中のマネ」展

 

練馬区美術館で開催中の「日本の中のマネ」展にいってきた。

 

概要はざっくりこんな感じ。

 

19世紀フランスを代表する画家エドゥアール・マネ(1832‐83)の日本における受容について考察する展覧会です。日本の中のマネ

 

日本にある17点の油彩画のうち、7点のマネ作品やエッチング素材などを公開。(マネの作品は兵庫県立美術館から借りてるっぽい)

 

クールべから現代アートまで、作品や資料をとおして日本におけるマネの解釈を深掘り。マネがどういう人物でどんな表現がしたかったのかが、ざっとわかる内容になっている。

 

マネとクールべ

 

展示冒頭で、さっそくクールべはヤバい人だということがわかる。

 

まだまだ宗教画が主流の時代に、突然ただの民衆のお葬式を描いて「歴史画」だといいはったらしい。

 

オルナンの埋葬
オルナンの埋葬

 

ここにはキリストも描かれているほか、聖職者や農民などの身分にかかわらず平等に描かれている。

 

この絵は物議をかもしたものの、マネにとっては革新的にうつったようだ。そこから、見たままの民衆を描くレアリスムのスタイルが確立された。

 

マネとスペイン

 

マネは「オランピア」や「草上の昼食」などの問題作を発表したのち、批判に傷心してスペインに逃げている。

 

このときにベラスケスゴヤなどのスペイン画家の巨匠に魅せられて、ベラスケスの作品を模したエッチングなどを描いた。

 

有名な絵画「笛を吹く少年」も、構図・背景・色彩などをベラスケスから影響を受けている。

 

笛を吹く少年
笛を吹く少年

 

展示では、ベラスケス「ラスメニーナス」の王女・マルゲリータや、「小さな騎士たち」のベラスケスの自画像などを模したエッチングを見られる。

 

エッチングは基本的には黒一色だけど、ひとつだけこんな色彩豊かな作品があった。

 

哲学者
道化役

 

マネの版画では唯一のカラーリトグラフらしい。

 

モデルは、当時のフランス大統領のパトリス・ド・マクマオン共和派のマネと反して王党派の政治をおこなったから、政治風刺として道化の姿に描いているらしい。

 

色鮮さが逆に不穏に思えてくるところもマネらしい…(?)

 

マネと日本の現代アート

 

最後の第4章では、現代アートでマネがどう解釈されているかを作品をとおして知ることができる。

 

正直、今回の展示はこの第4章のためにあるといっても過言ではない。

 

ここでは、森村康昌さん福田美蘭さんの2人の現代アーティストが登場する。

 

まず入口に入ってすぐ、森村さんの大画面で大胆な作品に驚いてしまった。

 

人種・性別を超えて、マネの作品に入り込んでいる。「オランピア」の黒人女性の奴隷を西洋男性に変えるなど、マネの作品に“NO”を叩きつけるような強さを感じた。

 

「フォリーベルジェールのバー」の完全再現も。

 

美術史の娘
美術史の娘

 

実際に再現すると、バーテンダーの腕が異常に長いことに気づくらしい。この絵は、どこまでも謎だらけだ…

 

そしてそして…今日は、福田さんの作品を知れただけでも大収穫だったと思う。

 

マネの解釈がすごく丁寧で、リスペクトしつつも冷静に観察して、自分なりのアイデアと掛けあわせて作品に昇華している。

 

2022年につくられたばかりの作品「富士遠望 / 珈琲を飲む女性 / 切断後の富士山」は、一枚の絵を3つのパーツに切り離して、それぞれでも絵として成立する作品。

 

マネの「闘牛のエピソード」はマネが描いたあとに上下に分断している。そのマネが打ち出したイメージ生成の枠組みを、自分の作品でも試みたものらしい。

 

「ミュージアムショップのマネ」という作品も好きだった。

 

マネ
出典:美術手帖

 

モネとかゴッホに比べてマネのグッズが少ないのって、いまだ人々に受け入れられない革新的な存在であるからでは…?の思いから、少ないマネグッズをかき集めて描いたもの。

 

たしかにゴヤ・ベラスケス・マネってグッズ全然ないし、1番好きだけどなぜかグッズ買おうと思えない…(笑)

 

グッズ
この展示のグッズショップもこぢんまりでした

 

だけど、気に入りすぎて一個だけグッズ買っちゃった。

 

「帽子をかぶった男性から見た草上の2人」という作品。このアイデアには脱帽した。

 

帽子をかぶった男性から見た草上の2人

 

このグッズは「どうせ複製するなら、版画も新聞も一緒でしょ」という意味でつくられた新聞紙作品なのだけど、原画はすごく大きなサイズ。本当に帽子をかぶった男性の気分になった。

 

あとで調べたら、ベラスケスのラスメニーナスでも同じように侍女の視点からマルガリータ王女を描いた作品もあるらしい。色々な絵画でやってるんだろうか…面白い。

 

マネの印象が180度変わる展示

 

マネの印象が180度変わる展示

 

マネといえば、「誰がなんといおうと我が道をいく意固地な人」「センセーショナルで触ると危険な人」だと勝手に思っていたけど、展示を見ていくうちに繊細でやさしい人なのかもしれないと思った。

 

仲間の絵を結構残していたし、マネを助けたドガやゾラの存在がどれだけ大きかったのか考えさせられた。

 

そして、現代アートでこんなに面白い解釈があるとは知らなかった。こんなに面白いのに1000円なので、お近くの人はぜひ行ってみてほしい。