もくじ
Chim↑Pom展いってきた
結成から17周年を迎えるアーティスト集団・Chim↑Pomの展示「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」(@森美術館)にいってきた。
初期から近年までの作品+新作=約150点を一挙に紹介する展示。
テーマは「都市と公共性・ヒロシマ・東日本大震災」など。
どれもユニークさと皮肉のきいたメッセージ性があって、よくも悪くも胸やけする展示ばかりだった。特に「スゴ!」と思った展示を3つ置いとく。
Chim↑Pom展のスゴイ作品 ① 害獣
街にドブネズミやカラスなどの害獣が大量発生している。
豊洲移転のときもネズミ問題が指摘されていたけど、駆除してもしきれないほどに湧いている。
なぜこんなにネズミとカラスの生命力が強いのか?
その原因は人間の消費にある。
必要以上のモノがあふれてゴミが増え、それを食べてブクブクと太ったネズミやカラスが繁殖しているらしい。
でも人間は、コンクリートの下に埋まっているネズミのことには目を向けずに、キレイに塗装されたコンクリートしか見ない。
まさに臭いものにフタ状態。
だからChim↑Pomは、ネズミやカラス、マンホールなど”臭いもの”にスポットライトを当てている。(むしろ化身のように考えているらしい)
その伝え方がすごい。
エリィさんがカラスの剥製(?)を腕につけてバイクで走り、仲間を助けようと飛んできた大量のカラスを頭上に集めてその量を可視化する。
空が黒くなるほどたくさんのカラスが集まってくる様子に、なんだかおかしくなって笑えてくる。
そして、カラスの本当の不気味さに気づく。
Chim↑Pom展のスゴイ作品 ② 結婚式
「道」の自由さを追求した作品もいくつかあった。
「公道は、誰にでも(節度をもって)自由に使える権利がある」という訴えだ。
それを伝えるために、公道で結婚式までしてしまったのだ……!!!
公道で結婚のパレードをできるのは皇室や王族の人だけ。しかもものすごい数の警備員が集まる。それを、「デモ」の体裁をとって無料で行った。
なんと大胆な発想なのか……
当然、政治的なデモ行進だと思って集まった警備員たちをよそ目に、ウエディングドレスとタキシードを着た新郎新婦が熱いキスを交わして、行進する人たちはみんな「LOVE 」「おめでとう」のメッセージだけをかかげる。
Chim↑Pom展のスゴイ作品 ③ 俺俺詐欺
俺俺詐欺は「もしもし?俺だけどさ、ちょっと事故っちゃって、お金必要なんだよね」と息子を装ってお金を要求する詐欺。
Chim↑Pomはこの詐欺を逆手にとって、感謝を伝えてお金を振り込む電話をかけまくった。
「もしもし?俺だけどさ、元気?いつもありがとうな。お金振り込むから口座教えてくれない?」
そんなふうに、お金を振り込もうとするんだけど、実際に振り込めた人はごくわずかだった。
Chim↑Pom展でChim↑Pomが改名
Chim↑Pom展に行った数日後、「Chim↑Pom改名」のツイートが突然流れてきた。
「改名のお知らせ」
Chim↑PomからChim↑Pom from Smappa!Groupに変わります。
どうぞよろしくお願いします。 pic.twitter.com/kIaj3ibz6s— Chim↑Pom (@chimpomworks) April 19, 2022
森美術館にスポンサーを断られたSmappa!Groupという企業(エリイの旦那様の会社らしい)の名前を入れた「Chim↑Pom from Smappa!Group」に改名するという。
私は六本木に“汚い大人がはびこる街”というイメージをちゃんと(?)持っているのに、当の六本木ヒルズが“気品”を保とうとしている謎ブランディングにも驚くが、名前を変えるだけで六本木ヒルズのあり方の問題提起をする(しかも平和的に)Chim↑Pomのニュースの作り方に驚いた。
そして、これも含めてChim↑Pom展なんだ…と思うと胸が熱くなる。
Chim↑Pom展の感想
正直これまで、Chim↑Pomは迷惑Youtuberと同じだと思う部分があった。
でも作品をみていると強い意志と主張を感じるし、作品というより、もう叫びに近いとすら感じて胸がいっぱいになる。
問題提起を、規格外に面白くやってやろうとして、実際にやってのけてしまうパワーに感動する。
Chim↑Pom展ですごいなと思ったのは、所々にPCが設置されていて、作品の背景にある事件やできごとをすぐに調べられること。
知らなかった事件を知るキッカケになる。
若い人が足を運ぶ展示だし、目が回りそうなインパクトのある作品ばかりだからこそ、地に足つける時間を持てるブースに意味があると思った。
Chim↑Pomが役割を果たそうとする姿勢が、このブースにある。
賛否両論、議論を生む展示だと思うけど、どちらにしても見ないことには議論すら起こせない。
Chim↑Pomがいたずらなニュースで議論を仕掛けてくる、そんな展示だったと思う。