「美術館女子」炎上問題をアート好きアイドルオタクが考えてみた。

私はハロプロことハロー!プロジェクトのアイドルオタクをしている女であり、西洋絵画をはじめとしたアートに魅力を感じて勉強中(趣味の範疇)の女でもあります。

 

Twitterで炎上していた「美術館女子」の問題について、アイドル好き・アート好きの視点から考察してみました!
 

 

Twitterを炎上させた「美術館女子」とは?

 

アート

 

美術館女子」は、2020年6月13日に「読売新聞オンライン」で公開されたアート企画のこと。

 

読売新聞オンラインと、全国約150の公立美術館で作る「美術館連絡協議会」が新プロジェクト「美術館女子」をスタート。初回にはナビゲーターとしてAKB48チーム8の小栗有以が現代アートの聖地・東京都現代美術館を訪れた。YAHOO!ニュース

 

AKB48のアイドルをモデルに起用した美術館のプロモーションについて、違和感を持った美術関係者らが問題視したコメントをTweetするなり、トレンド入りするほどの炎上案件となりました。

 

「美術館女子」のなにが問題なのか?

 

アート

 

「美術館女子」の問題点はどこにあるのでしょうか? Twitterの反応からみる問題点を3つピックアップしました。

 

① 「女子」のくくりに対するジェンダー問題

 

「リケジョ」「歴女」など、「〇〇女子」という性別のカテゴライズを、企画タイトルにしていることへの違和感コメントが多くみられました。

 

自己紹介としてキャッチーでわかりやすいから、女性でも「〇〇女子」を自称する人が増えてきています。

 

だけど、「女社長」という言葉はよく耳にするけど「男社長」という言葉は耳なじみがないように、もともと「〇〇女子」とは“男性がメイン、女性は例外”を助長する性差別の言葉です。

 

日本はジェンダー(社会的意味合いからみる男女の性区別)に対する考え方が遅れていて、「美術館女子」も例外じゃないのでは?という疑念コメントが寄せられました。

 

② 「映え狙い」でアートを侮辱する企画内容

 

炎上理由2つめは、美術館の企画なのに美術作品にフォーカスをあてず、被写体メインの「映えスポット」と化していること。

 

作品を背景にカメラをみつめるモデルのカットが目立つので、「美術作品に背を向けるな!」「美術館を映えスポットにすな!」というコメントが多かったです。

 

美術館を「映えスポット」にする発想は美術品やアーティストに対する敬意がない=侮辱とも捉えられ、しかもそれを「美術館連絡協議会」が許容しているとな・・!? という違和感が生まれたのではないでしょうか。

 

③ 美術に無知な(?)アイドルを起用

 

「美術館女子」のナビゲーター・AKB48チーム8の小栗有以さんは、企画内でこのようにコメントしています。

 

私自身、これまでそんなに美術館に遊びに行ったこともなければ、絵画に詳しいわけでもない。「芸術って難しそうだし、自分に理解できるのかな」。そう思っていた。美術館女子

 

「美術に対して無知なアイドルが美術にふれる」というコンセプトから、美術館にあまり行かない人に訴求することが企画の目的だと予想できます。それでも、小栗有以さんに課金するトップオタクは男性でしょうから、「映え」訴求はミスっていますがそれはともかく・・

 

美術好きからすると「誰トク?アイドルおたくトク?」となるとともに、「神聖な場所を映えスポットにされたくない」という意見もあがり、さらにアイドルオタクやフェミに関心のある人からすると「アイドル=無知のレッテル貼ってません?」「女性の知性を軽視してません?」となってしまいます。

 

「美術館女子」の炎上問題についておもうこと

 

アート

 

ここまでは「美術館女子」に対するネットの声をまとめてきましたが、ここからはアート好きでアイドル好きである私による考察を記します。

 

美術を好きになったきっかけはアイドル

 

私が美術をみるようになったきっかけは、ハロプロのアイドルグループ・アンジュルムの元リーダー「あやちょ」こと和田彩花さんでした。あやちょは印象派を代表する画家「エドゥアール・マネ」に魅せられて、アイドル活動をしながら大学に通って美術について学ぶほどの美術好きで、「ビジュルム」という美術について語るラジオをやっていました。

 

私は「ビジュルム」で紹介されている絵画を検索したり色々調べたりしていくうちに、「怖い絵」に興味がわいて中野京子さんの著書を読むようになり、実際の絵をこの目でみてみたくなって美術館に行くようになりました

 

和田彩花 アート
マネをこよなく愛するあやちょ

出典:カドブン

 

好きな人が「これすっごくいいよ!」と熱量を持っておすすめしてくれたら、知りたいとおもいますよね? 私も例外ではなく、「あやちょがそんなにいうならみるお!(鼻息荒め)」という浅はかな理由で美術に興味を持ちました。

 

「美術館女子」には美術愛・アイドル愛がない

 

美術を好きになる入り口はなんでもいいんだとおもいます。背景を知った方がもっと作品に没入できることは間違いありませんが、たとえ知識がなくても、感覚的に「この絵、なんか好き」でもいいんじゃないかとおもいます。

 

だから、かわいいアイドルがナビゲートする「美術館女子」がきっかけで作品を調べて興味をもち、美術館に行ってみようとおもう人がいても不思議じゃありません。

 

私がおもう「美術館女子」の最大の問題は、関わっている制作者から美術に対する愛情を感じないことす。

 

美術作品に背を向けるアイドル、それを許容するスタッフやカメラマン、美術作品にまつわる学びが特にない文章などから、「とりあえずアイドルをアンニュイに撮影して映えさせとこう!」みたいな作品やアーティストに対するリスペクトのない制作意図が透けてみえてしまいます。

 

あと私はハロプロのアイドルが好きなのでAKBの写真集を見慣れていないだけかもしれないのですが、写真から小栗有以さんのキャラクターがみえてこないことから、彼女の個性や魅力がひきだされていないことが見てとれます。結果的に、美術ファン&アイドルオタクのどちらに対しても中途半端な訴求になってしまっているのではないでしょうか。

 

「女子」よりも「アイドル」のくくりに違和感

 

「無知な観客の役割を女性(アイドル)に担わせている」といったジェンダー問題を指摘する声もありましたが、アイドルオタクの私としては「アイドル=無知」の印象操作をしていることの方により憤りを感じました。

 

アイドルである和田彩花さんから美術のおもしろさを教えてもらったこともあって、「アイドル=無知」の壁はとっくに取っ払われたものだとおもっていたからです。

 

天然で世間知らずだからかわいいアイドルももちろんいます。(私の推しもどちらかといえばそっちです!)だけどアイドルも多様化していて、ルックスなどの表面的なアプローチだけではなく、賢くてかわいくて表現に幅のあるアイドルが増えているとおもいます。(少なくともハロプロにはいます!)

 

アイドルにもそれぞれ個性があってだから素敵なので、「〇〇女子」同様にひとつのカテゴリでくくることは難しいです。「なぜ東京都現代美術館の撮影ではグループのなかから小栗有以さんが選ばれたのか?」というみえない問いにこたえる表現ができていれば、「美術館女子」の企画自体には納得感をもてたかもしれません。